最後のハリー·ポッターのブックエンドは、どのように
読書に使う「憂いのふるい」:ハリー・ポッター
ハリー・ポッターシリーズのネタバレあり The Mortal Instrumentsシリーズのネタバレちょっとだけあり
ハリー・ポッターシリーズのファンフィクションとして有名になったCassandra ClareのThe Mortal Instrumentsシリーズ最初の3巻を一気に読んだ。(6巻完結予定。現在4巻まで刊行されている)
これ、読みながら、「お?これはどこかで読んだことがあるような?」というような場面だとか設定だとかが出てくるのだが、こう惜しげもなく出てくるといのは、Cassandra Clareがファンフィクション作家として出発したからなのか。
そういう場面が多くあるのは、別に悪いことじゃない。そういう「遊び心」が満載なのだとわかって読めばそれでいいことだし、却ってそういうところが楽しいという気にもなってくる。
(と書くのは、以前クリストファー・パオリニの「ドラゴン・ライダー」シリーズがスター・ウォーズのパクリだとか指輪物語の真似をしているだとか扱き下ろしている批評を読んだことがあるからで、ある程度のパクリがあろうと真似をしていようと、作品そのものが読者にとっておもしろければそれでいいではないか、というのが私の思いだからだ。
だいたい、出版される本が皆新しいことに挑戦するようなものでは疲れるではないか。)
ハリー・ポッターとの絡みも� �� ��が、他にも「ライラの冒険」を彷彿とさせるような場面なんかもある。
ミステリーシリーズの文学エージェントの関心が誰である
ハリー・ポッター関連で言えば、まず、Muggleに対するMundaneというのがもうそのものみたいで、ファンとして「来たか~。」みたいな気持ちにさえなる。ハリー・ポッターでは魔法使いではない普通の人間をMuggleと呼ぶわけだが、このThe Mortal Instrumentsシリーズでも、ShadowhuntersやDownworlders(ヴァンパイア・オオカミ人間・妖精)の存在を知らない普通の人間をMundaneという呼び方をしている。Mundaneというのは、「平凡な」というような意味の単語なんだが、Muggleと同じくMで始まっているし、意味もぴったりした単語を選んだものだと思う。
The Mortal….では、通信手段の一つとして紙にメッセージを書いて、それを緑色の火で燃やすというものがあるんだが、これがハリポタのFloo Network(暖炉の火を媒体に移動したりメッセージをやり取りしたりする)を思い出させる。
ハリー・ポッターでは、ハリーのMentor的存在として3巻にルーピン教授が登場するのだが、同じく狼男としてLukeが登場し、主人公ClaryのMentor的存在となっている。同じ狼男で、名前もLで始まるという共通点は偶然ではないはずである。
そして、人々の恐怖を増長させる存在としてハリポタではBoggartが出てくるが、The Mortal...では、AgramonというDemonが登場する。最も、AgramonはBoggartのように結構どこにでもいるという存在ではないし、Agramonに恐怖を煽られれば、そのまま死んでしまうという場合もありうるほど強力なのだった。
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ハリポタに登場するDumbledoreの向こうを張るのが、魔法使いMagnus Baneである。Dumbledoreの友人であるNicholas Flammel並に長生きしているMagnus Baneは、見かけ19歳のゲイ魔法使いとして登場する。Dumbledoreはゲイである、とローリング女史はインタビューなどで明言しているが、ハリポタシリーズの本編でそのことにはっきりと触れることはなかった。The Mortal...の場合、Magnus Baneがゲイであることははっきりしている。
おもしろいのは、The Mortal...の作品中にDownworlderたちが集まる酒場でMagnus BaneとDumbledoreはどっちが魔法使いとして上かという議論が戦わされる場面があることだ。他人の作品の有名人物に作品中に言及するというのは、かなりファンフィクションの世界をひきずっているのじゃ?と思ってしまった。
その議論の場で「Dumbledoreは架空の魔法使いじゃないか。」と比べること自体がばかばかしいと言う輩もいるのだが、読者としてはどっちも架空なんだから、笑える。
ハリポタ1巻のしょっぱなに赤ん坊のハリーを届けにくるハグリッドが乗っているのが空飛ぶバイクで、シリウス・ブラックからの借り物バイクなんだが、これが7巻で再登場する。かなり印象深いバイクだが、The Mortal...でも空飛ぶバイクが登場する。こちらのほうは、ヴァンパイアたちが夜な夜な遊び歩くときに使う交通手段となっていて、日が差すと動かなくなるというもの。
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そして、Shadowhuntersの規律を取り締まる任務にある役職にInquisitorというのがあるのだが、この人物、Harry Potter4巻に出てくるUmbridge先生を思い出させる。Umbridgeのほうがもっと嫌らしいが、読みながら「これってUmbridge~」と思ったのは私だけではあるまい。
ハリポタ7巻では、ハリーとハーマイオニーがGodric's Hollowを訪ね、Batildaの家に行く場面があるが、そこでは実はBatildaが既に死んでいて、蛇が彼女の体を操っていたという部分がある。The Mortal….では、主人公がある中年女性を訪ねる場面があって、そこではハリポタ7巻同様、異臭がしている。訪ねた女性は表向き普通に話をするので、そこはBatildaの場面とは違うのだが、もう異臭がしてきているところからハリポタファンとしてはBatildaと重ねて「来るぞ来るぞ~」と思ってしまうのだった。案の定女性は人間ではなく悪魔が乗り移っていたということがわかる。
Mortal Instrumentsというシリーズ名は、実は天使からShadowhuntersが授かった三種の神器みたいなものから来ているんだが、この3つの「秘宝」とも言うべき物たちは、ハリポタのHallowsととても似ている。ハリポタの場合、昔の魔法使いたちが死神からもらった3つの物がHallowsなんだが、Mortal InstrumentsはShadowhuntersの祖先が天使からもらった3つの物となっている。
Mortal InstrumentsシリーズとHarry Potterシリーズの決定的違いはロマンスものであるということかな。Harry Potterにもロンとハーマイオニーや、ハリーとジニーのロマンスの断片がなかったわけじゃないけれど、あくまでハリーの成長物語の一環としてのロマンスだったのに対し、Mortal Instrumentsはロマンスと冒険を主体とした話なのだ。ジャンルからしたら、トワイライト・サガと同じところに分類されるんだろうな。
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